発行日 1948年9月15日
Published Date 1948/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906374
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皆さんは必ず御産の手傳をされたことがあるでしよう。その手傳はれた時の御産は何うでしたか。御産が輕くて,産婦が餘り苦しまず,樂々と玉の樣な可愛らしい赤ちやんが産れるのを見られた時には,傍に居る我々まで嬉しく,その新しい生命の誕生を,祝福したい氣持で一杯になります。これに反して,たとひ醫者や助産婦の手當を必要とするほどの難産でなくても,相當に重い御産だと,産婦の額は汗で濡れ呼吸はせわしく,脈も速くなり,顔色も變つて,苦しむ有樣を見ると,如何にも氣の毒に感じ,時としては御産は恐しいと感じませんでしたか。
聖書にはアダムとエバが神樣から禁ぜられてゐた禁斷の智慧の木の實を,悪魔の蛇の誘惑に負けて食べて,その罰としてエデンの樂園を追はれ,その上アダムは生活の爲めに額に汗して働かなければならない樣になり,エバは御産の苦しみをしなければならない樣になつたと記るされてることは御承知の通りです。
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