看護學講座
基礎看護法—患者の慰安
白井 怜子
pp.41-46
発行日 1948年8月15日
Published Date 1948/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906367
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患者の慰安
一般的考慮
病氣中患者は何を考へ,何をしようと慾するであらうか。若し病氣が短期間の急性のものならば,目のさめてゐる時,苦痛のない時,處置や醫師の廻診のない時,訪問者のない時等は自分の病氣やその恢復についてだけ色々考へてゐるかも知れない。併し稍々急性の期間でも多くの場合患者は慰安は必要である。そして更に急性の期間が過ぎた恢復期の長い患者にはこれが大切な問題となつてくる。こうした期間を如何にして氣分を引立たせはげましてやるかをわれわれは考へなければならない。先づ患者の好な事嫌ひな事或は特別興味を持つてゐる事について學ぶ事である。
患者の職業或は受けて來た教育に對する知識を持つ事が役に立つ事もある。時として生活の上に何の興味も持たず,若し看護婦が仕向けなければ全く樂しみのない不幸な患者を見る事がある。こうした患者には何か興味のある事魅力のある樂しみを見つける樣に努力をしてやらねばならない。會話の中に偶然見出した事を上手に引出してやれば豫期以上に效果のある事がある。
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