看護学講座
内科
橋本 寛敏
pp.28-35
発行日 1947年7月15日
Published Date 1947/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906216
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神經系疾患
體内には色々の役目を有つ器官があり,呼吸,血液循環,消化,排泄,生殖,運動を司つてゐるが,これらがバラバラ勝手に働いて居るのではなくて,互に協力して,一人の體として纏つた働きをして居る。その纏める役目をするのが神經系統である。色々の器官や組織の働きを調節し,互に連絡せしめる役目もするし,外界の状況を報告するもあり,之を感受し,判斷し,命令を出す主腦部もあり,又命令を傳へる經路もある。斯の活動を引き受けるのが,神經細胞とその枝即ちNeuronである。無數のノイロンがその枝で次の神經細胞に絡みついて連結して居る。神經細胞の多く集つてゐる所は灰白質で,神經細胞枝の長いもの即ち神經繊維が多く通つて居る所が白質又は神經である。同じ働きをする神經細胞が所々に集合して居るが,それらのうち或る神經機能の主腦部をなすものを中樞と謂ふ。
五官の報知を感受し,外界の状況を知り物事を記憶し,思考し,判斷し,意志を行動に移す命令を出す働きをするのは,大腦であるが,これらの活動の中樞がある。その支配を受けて居る系統が所謂隨意神經系である。心臟血管,胃腸その他の内膿の働きを支配する中樞は間腦から延髓にかけて在るが,之は隨意神經系とは別個に獨立して働いて居るので自律神經系と謂ふ。
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