特集 —生ある限りいきいきと—腹臥位療法のすすめ
低ADL(高齢)患者に対する腹臥位療法のすすめ—QOL重視の全人間的アプローチ
第1章 腹臥位療法とは:作用機序,効果・効用および科学的根拠
有働 尚子
1
1VITA臨床生命学研究所
pp.1004-1015
発行日 1999年11月1日
Published Date 1999/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905961
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
近年,わが国も本格的な高齢化社会を迎え,脳血管障害や種々の慢性疾患に起因する寝たきり状態に陥った高齢患者の増加は,社会的にもとくに重要な問題となっており,今後ますます深刻さを増していく傾向にある.
このような状況に際し,寝たきり状態の合併症が生じてから治療するというサイクルで実践されてきた従来の老人医療の〈受け身的姿勢〉を反省するとともに,高齢者が寝たきり状態で単なる臓器レベルでの延命治療を継続されるのではなく,〈生きたヒトとしての健全な生活〉を最大限に謳歌できるような〈全人間的アプローチ〉の1つとして,また,介護保険導入や在宅医療が奨励される昨今の医療情勢のなかで,いつでも,どこでも,誰にでも,安価に施行可能な〈寝たきり予防〉の具体的1方法として,〈腹臥位療法〉を紹介したい.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.