フロントライン'99 老人
「うつ伏せ側臥位」の効用—寝たきり老年者の慢性気管支肺炎と慢性尿路感染症の根絶を図る
並河 正晃
1,2
1近江温泉病院
2京都大学医学部
pp.46-52
発行日 1999年1月1日
Published Date 1999/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905749
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Ⅰ「うつ伏せ療法」1-3)と施行上の問題点
常に寝たきり(bed bound)の老年者の姿勢は,仰臥位,左右両側臥位および,時々の上半身ギャッチアップ位であるが,これらの姿勢が取り続けられるなかに,種々の疾患や病態(「寝たきり廃用症候群」;表12-4)が発来し,増悪してゆく.ところが,それらの姿勢のなかに,腹臥位(うつ伏せ姿勢)が組み込まれると,それらすべての疾患・病態が予防され,すでに生じている場合には,改善(軽減)がみられ,さらには治癒に至ることも観察されてきている1,2,5-9).
この「うつ伏せ療法」は,薬剤も外科的手術もまったく必要とせず,うつ伏せ姿勢が毎日,数時間保持されるだけで比較的短期間のうちに顕著な医学的成果が得られるものであるが,実施され,効果が発現するに至るまでに,次の2つのことが大きな障害となり,問題となるのではないかと思われる.
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