特集 患者とともに進める痛みのケア
痛みの看護的アプローチ—患者の主体的参加を促すかかわり
岡田 美賀子
1,2
1聖路加国際病院ペインコントロール
2聖路加看護大学大学院修士課程CNSコース
pp.613-616
発行日 1998年7月1日
Published Date 1998/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905622
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はじめに
1986(昭和61)年にWHO方式のがん疼痛治療法が提唱されて以来,日本でも徐々に普及が進み,ここ数年で痛みのケアは大きく様変わりした.それに伴って,以前は「痛みはがまんするもの」「がんの末期に痛いのはしかたがない」と思われていたのが,「痛みはできるだけ取りのぞくべき」「痛みを取ってもらうのは患者の権利」というように,日本人の痛みに対する考え方も変わりつつあるように思う.さらに,インフォームド・コンセントや情報開示などが進み,おまかせ型医療から患者参画型の医療へと患者側の要求も高まってきている.いままでのような,医療者だけでケアの内容や方針を決定するというやり方では質の高い医療とは言えなくなった.緩和ケアにおいても同様で,近年,苦痛緩和を要求するはっきりとした意思を示す患者が増えてきている.
このような現状の中で,痛みのケアにおいて看護に期待される役割が拡大してくるのは当然のことである.痛みは主観的なものであり,痛みを感じている本人のケアへの主体的な参加が特に重要であると言われている1,2).従来から看護婦は痛みのケアに関しては重要な役割を果たしてきたが,これからは今まで以上に,主役である患者やその家族と話し合いながらともにすすめていくことが必要になってくるだろう.
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