連載 リレーエッセイ 事務長の所感・15
病院のIT化を阻むものは何か?
福島 公明
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1社会福祉法人恩賜財団 済生会吹田病院
pp.341
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100284
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医療分野の IT 化の促進は政府決定である
病院の IT 化については,政府は「保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン」により,電子カルテを平成18年度までに全国の400床以上の病院と全診療所のそれぞれ6割以上へ普及,との方針を出しています.400床以上の病院は約860施設,診療所が約9,400施設であるので,あと2年あまりでそこまで普及するか?というと疑問がないわけではありません.しかし,IT 分野の発展はドッグカレンダー(犬は人間の7倍のスピードで生きている,の例え)で動いており,2年先を予測することは難しいことです.
診療所への電子カルテの普及が先行するか?
この問題を考える時いつも思うのが,「悉(しつ)無(む)律(りつ)」という法則です.例えば,興奮性細胞(神経,筋肉など)は刺激強度がある一定値(閾いき値ち)以下では応答せず,閾値以上の刺激で応答し,応答の大きさは刺激の大きさによらないそうですが,これを悉無律の法則といいます.中学生の理科の実験でやった,蛙の足の神経を出して,食塩水を1滴ずつ垂らし,何滴垂らしたら神経が反応するか?あの実験です.
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