特別記事
誇りある看護者として:自らの責任において行動する専門職者であるために
高橋 照子
1
1東京慈恵会医科大学医学部看護学科
pp.716-719
発行日 1996年8月1日
Published Date 1996/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905143
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はじめに
1人ひとりの看護者は,これまで自ら考え,自ら判断し,責任をもって行動してきただろうか.みんなが読むから,みんなが参加するからと,本を読み講演会に参加する.みんなが知っていることを自分が知らないのは,このうえない不安にさせられる.こうした結果として,個としての考えよりも,不特定多数の実体のない集団としての考えのようなものに支配されてきたのではないだろうか.病院や学校などの各組織においても,その組織を構成する1人ひとりの看護者の考えよりも,その組織体としての考えを優先する傾向が強いのではないだろうか.
このような現象は,なにも看護界に特有なことではなく,かなり日本的な普遍的な現象なのかもしれない.しかし,これが「患者の個別性の尊重」を重視しようとしている看護界に存在しているとき,重大な問題をはらんでいるはずである.その点を問い直そうとするのが,本稿の目的である.
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