コーヒーブレイク
燈台もと暗し
T. S.
pp.497
発行日 1981年6月1日
Published Date 1981/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202292
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ある日,腹痛の学生から診察を求められた.虫垂炎でもなさそうであったので,温めて見ようと"かいろ"を捜したが見つからなかった.ホカホカの"かいろ"なら持っていると,学生は自分のカバンの中から取り出した.かいろ灰によるかいろか,白金かいろしか知らなかった自分は,こんな使い捨てかいろは,全く初耳であったし見たこともなかった.どうして火をともすのかとたずねると,学生は笑いながら,もむか強く振れば温くなるという.自分の無知に恥入った次第である.ところが,どういう原理で熱が出るのかと質問すると,学生は全く知らなかった.
その後,多くの看護婦,医師,薬剤師にその原理を聞いてみたが,企業秘密とか何とか言って的確な回答が得られなかった.早速,街の薬屋に行って買ってきて袋を破って見た.鉄粉様のものが多く含まれていた.そこで,無機化学担当の先生に,化学反応を調べてもらった.多分,次の式による発熱であろうということであった.
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