特集 海外看護事情—日本人看護婦からの手紙
【オーストラリア】看護のレベルアップに貢献する専門看護婦
瀬間 あずさ
1
Azusa Sema
1
1ホーンズビー・クーリンガイ病院一般内科病棟
1Hornsby Ku-ring-gai Hospital
pp.23-25
発行日 1996年1月1日
Published Date 1996/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904982
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なぜオーストラリア医療なのか
日本は,65歳以上の人口が2007年には20%,30年後の2025年には25%に達するというように高齢化速度が世界で最も早い.また最長寿国でもあり,これから世界一の高齢社会になる国である.その超高齢社会の到来に際し,日本では介護の問題が21世紀の大きな課題とされ,1988年のゴールドプランにはじまる政策転換,つまり,病院などの施設内で行なわれてきた高齢者の介護を地域でのケアへと移行させる変革の真っただ中にある.
そこで最近,訪問看護ステーション,介護支援センターなどを中心とした高齢者介護システムの確立が叫ばれる日本で,オーストラリアの医療・福祉の体制に関心が寄せられていると聞く.その理由として関根1)は,「オーストラリアの国民1人あたりの医療費と国民所得との関係,および老人比率は世界的にみて日本に最も近いことからオーストラリアのシステムは老人医療,福祉後進国の日本でも医療費の配分方法を改革すれば到達不可能ではない」と述べており,モデルとするのには高嶺の花の福祉先進国である北欧諸国のシステム(高負担,高福祉)に比べて,オーストラリアの医療・福祉は出すのも受けるのも,“中くらい”(中負担,中福祉)であり2),日本の高齢者医療・福祉の目標として,手の届くモデルと位置づけられている1).
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