連載 買いたい新書
ジレンマ,生へのあくなき追求がもたらした副産物―いつ死なせるか ハーマン病院倫理委員会の六カ月
杉山 克己
1
1東京大学医学部保健社会学教室
pp.858-859
発行日 1994年9月1日
Published Date 1994/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904638
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私ごとよりはじめよう.学部の授業で初めて解剖見学をした時のこと,不謹慎かもしれないが私の第一印象は「あっ!チャーシューに似ている」だった.しかし,当時付き合っていた相手は,そこに別のものを見ていた.その「人」の生きた人生,喜びや悲しみ,愛したであろう人々,無念,憎しみ…….もちろんそれらは勝手な想像にすぎないのかもしれない.しかし,彼女にはまさに生活する(していた)「人」が見えたのだった.私には「遺体」が見えた.
あれから6年.さまざまな愛憎の果て私たちは別れた.そして,私は献体登録をした.自分の生きてきた意味を求めて…….
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