IV．変性産物

　「脳の病理組織学の手引き」は「その8，グリアの病変」（脳と神経，11（9）：781〜805,1959）まで連載したが，「その9，変性物質」の原稿を準備中，突然，妻が病に倒れ，私も心の支えを失つて意欲が衰え，本稿も，自然に中断のかたちとなつた。一昨年（1965年）本誌に連載された「神経病理アトラス」を分担したことがきつかけとなつて，ようやく気力の回復を覚え始め，研究室の同学の諸君やとくに当時の医学書院の社員，中島信也君の激励によつて，ここにふたたび稿をつづけることになつた。次回の「V．間葉性組織の病変」をもつて，このシリーズを一応完結したい。