連載 ほんとの出会い・6
今どきの「領内の産物」とは
岡田 真紀
pp.890
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100348
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大根の種を蒔く時期が近づいてきた。5年前,子育て仲間たちと「練馬大根友の会」を作った。区内の農家から畑を借り,大根2000本を育てている。幼稚園に通い始めたばかりの子どもから,若いパパやママ,子育てが終わってやれやれの熟年世代,そして人生の達人まで,文字通り老若男女が集まる。残暑の下の種蒔きのあとは,大人は生ビール,子どもはかき氷で喉をいやす。農家から頂いたもぎたてのなすやピーマンをその場で焼き,芳ばしい匂いが広がる。
しかし,12月の収穫はかなりハードだ。立派に育てば育つほど抜くのは一苦労。スコップで周りの土をせっせと取り除いてから,ヨッコラショと引っ張りだす。「大根苦手」と言っていた子どもも,抜いたばかりの大根を削ってあげると「おいしい!」とみずみずしさに驚く。次に冷たい水の中で泥まみれの大根をたわしで洗い,縄で結わえて干していく。2000本の大根が吊るされた風景はなかなか壮観だ。
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