特集 変容するケアの時代の法的・経済的枠組み
変わる看護サービスの提供体制とその業務内容—老人保健制度と老人病院
小山 秀夫
1
1国立医療・病院管理研究所
pp.509-514
発行日 1993年6月1日
Published Date 1993/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904285
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老人病院制度設立の背景
近年,わが国の老年者人口は年々増加傾向にあり,老年人口比率も上昇している.この増加する老人の傷病は,脳卒中や心臓病などのように治りにくく,寝たきりの状態になりやすい慢性的疾患が占める割合が高い.そのため,長期療養を必要とする老人が増加し,老人の心身の特性にふさわしい医療と介護が受けられるような環境の整備が求められている.
主として慢性疾患を持つ老人を診療している病院では,急性期に対応する治療よりも介護面を充実させたケアを求められる場合が多く,またそれにふさわしい医療が提供できる体制が必要だと考えられるようになった.職員配置数の点で,日常生活面での支援を行なう介護職員を置いて介護面を充実させる一方で,診療面では必要以上に投薬,注射,検査などが行なわれないようにすることが求められる.このような背景から,1983(昭和58)年2月の老人保健法の施行に伴い,創設されたのが老人病院の制度である.
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