現場から ケースレポート
看護師の変化が育んだ患者−看護師関係—ある患者とのかかわりを振り返って
浦中 恵子
1
1日本医科大学千葉看護専門学校
pp.882-887
発行日 2002年9月1日
Published Date 2002/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904047
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看護とは,人間対人間の行為として行なわれるものであり,そこにはコミュニケーションによる意思疎通が存在する.同時に,コミュニケーションは,患者をありのままに把握して個別性のある看護を提供するとともに,医療者-患者間の信頼関係を築くことを可能にする.
今回,看護学生である筆者は,下行結腸癌によるイレウスおよび水腎症による腹部膨満増強のために疼痛が出現し救急外来を受診,全身管理目的でICUに入室後,外科病棟へ転入した手術後5日目の72歳の男性T氏を受け持った.しかしT氏は,情報収集する筆者の質問に対しうつむき黙り込んでしまい,情報収集自体が困難になってしまった.そこで筆者は,担当看護師の援助場面に参加するとともに筆者のそれまでの援助場面を振り返り,情報収集のための情報収集ではない自然な会話などのやりとりを通じ患者の状況を観察し把握すること,また常に患者の訴えを傾聴し共感的態度で接することに努めるようにした.その結果,T氏の態度にも変化がみられ,看護者自身の振り返りと,なかでも患者の立場に立って考えることの重要性を痛感した.
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