特集 危険な画像所見—ぬかりはないか? ②−循環器・頭頸部編
【頭頸部1】硬膜外(下)血腫
黒川 顕
1
1日本医科大学附属多摩永山病院救命救急センター
pp.724-730
発行日 2002年8月1日
Published Date 2002/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904017
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I.硬膜外血腫
頭蓋骨(の内板)と硬膜の間に生じた血腫をいう.典型例は頭蓋骨骨折が側頭部にあり,骨折線が中硬膜動脈や静脈を横切って,この血管を損傷するために起こる(症例1,図1).その他,頭頂部や後頭部で骨折線が硬膜静脈洞を横切っている場合には,静脈洞からの出血で起こる(症例2,図2).また頭蓋骨の内板と外板の間にある板間静脈からの出血で起こることもある.一方,乳幼児では頭蓋骨が柔らかいために,骨折がなくても硬膜外血腫をきたすことがある.
このように硬膜外血腫の出血源はさまざまであり,血腫が大きくなる速さは出血源により異なる.血腫がそれほど大きくならないうちに出血が止まると,意識障害や神経脱落症状をきたすことなく回復することもあるが,血腫が進行性に大きくなると,意識清明期(lucid interval)のあとに意識障害を起こすことがある(talk and deteriorate1).よって,頭蓋骨骨折がある患者は仮に意識障害や神経脱落症状がなくても注意深い経時的な観察が大切である.
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