特集 危険な画像所見—ぬかりはないか? ②−循環器・頭頸部編
【頭頸部2】くも膜下出血
黒田 泰弘
1
1徳島大学医学部附属病院救急部集中治療部
pp.731-737
発行日 2002年8月1日
Published Date 2002/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904018
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疾患の概要
くも膜下出血は脳卒中全体の10-20%を占め,年齢は40-50歳台に多く,性差はほとんどない.成人の非外傷性クモ膜下出血の80%以上は脳動脈瘤破裂症例であり,20歳以下では25%が脳動静脈奇形破綻症例である.
脳動脈瘤の多くは,先天性の中膜欠損に動脈変性が加わり,血圧の影響と血管分岐部の渦流による圧力とによって形成され,Willis動脈輪の前半部近くの動脈分岐部に発生する.部位別頻度は前交通動脈を中心とした前大脳動脈約40%,内頸動脈約35%,中大脳動脈約20%,椎骨脳底動脈約5%である.脳動脈瘤の破裂の原因には瘤の大きさ,加齢や血圧の関与が考えられている.破裂動脈瘤の予後は,背景疾患の程度,最初の破裂時の重症度(意識レベル,神経脱落症状),再破裂(24時間以内に多い),脳血管攣縮の程度で決まる.再破裂は,最初の破裂による重症度が低い症例に多い。予後は,その50%が初回出血で死亡するか重篤な機能障害を残す.適切な治療が行なわれないとさらに25-30%が再破裂で死亡する.
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