特集 危険な画像所見—ぬかりはないか? ②−循環器・頭頸部編
【循環器4】心タンポナーデ
坪 敏仁
1
1弘前大学医学部附属病院集中治療部
pp.720-723
発行日 2002年8月1日
Published Date 2002/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904016
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疾患の概要
正常の心膜腔に存在する心膜液は約50mlである.また心膜腔圧は胸腔内圧とほぼ等しく,左右心室拡張期圧よりも数mmHg低い.心膜腔に心膜液が貯留する場合,それが緩徐であれば約2リットルまで伸展可能であるが,急速である場合は250ml以下でも心膜腔内圧は18-20mmHgまで上昇し,心臓を外側から圧迫する.心膜腔液の増加により,心室の拡張障害と心拍出量の低下が認められた場合を心タンポナーデと呼ぶ.
心膜液貯留の基礎疾患は,悪性腫瘍の心膜転移・浸潤が頻度として多く,また尿毒症,急性心筋梗塞,大動脈解離等による場合や,原因不明のものも比較的多い.心タンポナーデの病像はその進行状況から,慢性と急性に分類されることが多い.急性心筋梗塞,胸部大動脈瘤破裂や診断手技に続発する場合は急性の経過をたどる.
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