特集 進化する経腸栄養法
経腸栄養施行時の評価とリスク管理
松末 智
1
1天理よろづ相談所病院腹部一般外科
pp.316-322
発行日 2002年4月1日
Published Date 2002/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903934
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はじめに
強制栄養法である経腸栄養は静脈栄養(IVH)と並んで,今や低栄養患者に対する重要な栄養補給法の1つとして認識されるようになった.我が国では旧来,“経腸栄養のようなもの”はいわゆる「注入食」として,特に意識のない患者や嚥下困難を持つ患者で,主に脳神経疾患,耳鼻科領域で行なわれてきた.しかし,これは多分に「食べられないので仕方なしに鼻から入れたチューブから食事の代わりになるものを入れよう」とするものであった.したがって,それぞれの分野,またはそれぞれの病棟によってその方法は異なり,それぞれが自分たちのやり方を踏襲してきた.そこに,臨床栄養学的基礎に則った近代的経腸栄養法が広まってきたが,従来から「注入食」を行なっていた分野では,これは単に入れる物が近代的な製法で生成された製品になっただけと考えている人たちが多いように思われる.
静脈栄養が栄養補給の根本理念を覆す大変革を医療者に迫った結果,各施設内の栄養補給全般(経腸栄養を含めた)に対する意識の向上が起こった.このような近代的経腸栄養を理解する者から見て旧来の「注入食」は危険な面が目に付き,改善を勧告する場合が非常に多くなっている.しかし,この場合でも,「当科では従来からこの方法でやってきて問題はない」と勧告を拒否されることも多いのが実情である.
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