特集 進化する経腸栄養法
経腸栄養時の口腔ケア
田中 靖代
1
1ナーシングホーム気の里
pp.340-344
発行日 2002年4月1日
Published Date 2002/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903939
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はじめに
物を「噛んで食べる」ということは,人間にとってもっとも生理的かつ効果的な栄養供給の方法です.人は噛むことによって唾液の分泌を促し口腔内をきれいにしたり,歯列の保全や脳の血流を促して老化を防止したり,筋力や運動能力を高めたりするなどのメリットがあるといわれます,ところが種々の原因からやむなく経腸栄養を受けなければならない患者さんでは,このような機能が制約されますので,唾液の分泌は減少して口腔内が乾燥したり,汚染したり,舌苔があったり,口腔粘膜が爛れたり,口内炎ができたり,ひいては嚥下や運動機能障害をきたしたりすることなどが危惧されます.
それだけに経腸栄養時の口腔ケアには重要な意義があり,生理的な機能を整えるようなアプローチが望まれます.山中氏は「口腔ケアの定義は口腔の疾病予防,健康の保持推進,リハビリテーションによりクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上を目指した科学であり,技術である」1)と述べています.筆者も同感で,そんな口腔ケアのあり方について考えてみたいと思います.
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