特集 進化する経腸栄養法
栄養療法における経腸栄養の位置—そのメリットと適応基準
小野 香
1
,
小越 章平
2,3
1高知医科大学免疫学教室
2高知医科大学
3日本静脈経腸栄養学会
pp.310-315
発行日 2002年4月1日
Published Date 2002/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903933
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はじめに
栄養療法には,大きく分けて3つの方法がある.1つは経口栄養法つまり通常の食事療法のことである.そして経腸栄養法と静脈栄養法の2つはともに患者に対して強制的に栄養補給を行なう方法であり,経口摂取が不十分または不可能なため栄養障害を来たしている場合に適応となる.
静脈栄養法は,1960年代にアメリカにおいて確立され,わが国においても特に外科領域や重症患者の栄養治療においてすばらしい効果を上げた.一方,経腸栄養法の歴史は静脈栄養法よりは古いものの「高カロリー輸液」の急速な発展の陰に隠れ,一時期衰退した感があった.しかし,「成分栄養剤による経腸的高カロリー栄養法」の概念の発表後,急速に表舞台に出て,静脈栄養とともに車の両輪となった.わが国では独自の処方による成分栄養剤が1978年に組み立てられ3年後に市販された.その後も次々と経腸栄養法のメリットについての研究がなされ,今日では主要な栄養療法の1つとなって普及している.
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