特集 進化する経腸栄養法
腸管機能からみた経腸栄養の有効性—腸管免疫系を中心に
橋ロ 陽二郎
1
,
望月 英隆
1
1防衛医科大学校第一外科
pp.323-328
発行日 2002年4月1日
Published Date 2002/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903935
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はじめに
現在,もっとも活発な研究が行なわれている栄養管理法のひとつが経腸栄養である.経腸栄養そのものの持つ有用性については従来から報告されていたが,完全静脈栄養;total parenteral nutrition(以下,TPN)偏重に対する反省から近年再評価が進み,さらにバクテリアルトランスロケーション;bacterial translocation(以下,BT)の概念が広く受け入れられるようになった結果,腸管への効果が高く,免疫賦活作用のある経腸栄養が実際の臨床においても実施される機会が増加している.腸管を用いる経腸栄養は,静脈栄養に比べて侵襲後の生体反応の軽減化や感染症発生率の低下などの効果があり,腸管の使用そのものが腸の免疫能を賦活することを介して全身の生体防御能を維持・賦活する点がとくに優れている.
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