2001フロントライン 遺伝看護
遺伝性がん家系員のサポートシステム構築に向けて
武田 祐子
1
1慶應義塾大学看護医療学部
pp.948-951
発行日 2001年10月1日
Published Date 2001/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903832
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
遺伝性のがんは,すべてのがんの約1割から2割程度と考えられ,一般のがんに比べて発症年齢が若く,特定の臓器に多発するなどの特徴がある,近年の分子遺伝学の発展により,発症前の遺伝子診断が可能となってきているが,このことががんの予防や早期発見につながれば遺伝性がん家系員にとって大きな利益となり得る.しかし,診断がついた場合は多発・多重がんの発生に対して,生涯継続した医学的対応が必要となり,その具体的対策は確立されていない部分も多くある.また,遺伝性疾患としての社会的偏見や差別といったさまざまな問題もあり,遺伝性がん家系員が医療を上手に活用していくためには,サポートシステムが不可欠である.
今回,遺伝性大腸癌についての国際的情報交換の場となっているLCPG(Leeds Castle Polyposis Group;家族性大腸腺腫症の研究組織)とICG-HNPCC(International Collaborative Group for Hereditary Non-Polyposis Colorectal Cancer;遺伝性非腺腫症性大腸癌の研究組織)の第3回合同会議がイタリアのベネチアで開催され,そこに参加する機会を得た.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.