現場から 調査・研究
遷延性意識障害患者の在宅ケアを支援するために
内田 富美江
1
1川崎医療短期大学
pp.984-986
発行日 2001年10月1日
Published Date 2001/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903840
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●はじめに
遷延性意識障害患者(以下,患者と述べる)は,気管切開・胃ろう・導尿カテーテルなどをはじめとする医療的処置の必要性が高いため,これまで患者のケアは病院などの医療機関で中心的に行なわれてきた.しかし,近年国の医療政策の変更により,病院への入院患者の制限および福祉ベッド(介護中心型ケア)への転換が行なわれ,退院を余儀なくされる患者が増加してきた.一方,福祉施設においては医師や看護婦などの医療関係者が常駐しないため,医療的処置を必要とする患者の入所はきわめて困難である.その結果,患者を抱えた家族は病院を探し回り転々としている.このように医療および福祉施設からはじき出された患者は,在宅で家族を中心にした介護を受けているが,在宅ケアも漸増してきている1).
在宅ケアを行なっている患者の家族はどのような状況におかれているのか.その実態についての調査はまだ少ない.本論文では,筆者が実施した遷延性意識障害患者とその家族の生活実態調査から,在宅ケアを継続中の患者とその家族をとりあげ,在宅ケアの問題点を分析した.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.