現場から ケースレポート
十二指腸潰瘍術後に情動爆発,行動異常を起こした児と母親—母子相互交渉を促す援助
恒川 幸美
1
,
山本 欣子
1
,
扇原 益美
1
,
山本 和子
1
,
宮本 正俊
2
,
宮本 友紀
2
1富山市立富山市民病院
2富山市立富山市民病院小児外科
pp.96-99
発行日 2001年1月1日
Published Date 2001/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903659
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●はじめに
従来,胃・十二指腸潰瘍は小児には少ないと考えられていたが,近年,その発生が増加傾向にある.小児期潰瘍の特徴として,身体的あるいは精神的ストレスに起因する続発性潰瘍であることが多い.乳幼児期には家族との関係,特に養育を担当する母親との関係や幼児期後半には同胞葛藤も影響する1).なれ親しんできた家族や環境から,病院という未知の世界へ放り込まれることは,子どもにとって大きなストレスであるが,このような場合にも母親とのかかわりが児に大きく影響する.
今回,2度にわたる緊急手術を受け,安静,食事制限,治療を強いられたことから術後,突然大声で泣き暴れたり,吃音,赤ちゃんがえりなどの行動異常を示した児を経験した.それに対して母子相互交渉を活用して援助した.母親が安定し母子関係が深まるとともに児の問題も解決していった経過を報告する.
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