臨床医のプライマリ・ケア 母と子のプライマリ・ケア--母子相関をめぐって
母親の行動—正常児出産と異常児出産の場合
竹内 徹
1
Toru Takeuchi
1
1大阪府立母子保健総合医療センター周産期第2部
pp.819-823
発行日 1982年11月10日
Published Date 1982/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206717
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最近の周産期医学の進歩によって,人間のお産をめぐる様相は,いちじるしい変貌を遂げてきた。すなわち医学の進歩は,出産というbiologicalな出来事に関するあらゆるリスク因子を予知し,またそれを科学的に軽減させることができるようになった。さらに一方,お産に伴なう情緒的側面に対しては,心理学的な注意と配慮がはらわれるようになってきた。残念なことであるが,病院分娩か家庭分娩かという問題が,歴史的・社会的背景を考慮されずに,短絡的に議論の対象となっているのも現状である。われわれが,忘れてならないことは,現在,医学の進歩を十分利用できるようなシステムのなかで,同時に妊娠および出産をいかに人間的かつ生理的なものとして取り扱うべきかを問われている時期であるということである。本稿では,出産をめぐる母親の行動を,医学的のみならず,比較行動学的ないしhuman bio—logyの立場から問いかけられている問題を,簡単にreviewするとともに,現在実行可能な実際的な臨床上の改善策を提案するものである。
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