特集 安静苦痛を緩和する—安全性とQOLの両立をめざして
食道癌術後患者の安静苦痛の緩和—精神症状出現の予防と対応
西原 千鶴
1
,
長谷川 恵利子
1
,
小西 文恵
1
1天理よろづ相談所病院集中治療部
pp.20-24
発行日 2001年1月1日
Published Date 2001/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903642
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食道癌術後は,消化器外科のなかでももっともクリティカルなケアを要し,術後侵襲も大きくさまざまな合併症の予防のため,慎重な循環・呼吸管理が重要となる.当院では,気管繊毛の動きが低下している時期に,無気肺の形成を予防するため,最低でも術後3日以降に抜管する治療方針である.このことから挿管期間も長く,患者は安静に伴う大きな苦痛を体験することから,精神症状をきたしやすい状況となる.精神症状の発生は黒沢1)も述べるように,「身体要因と環境要因が複雑に絡みあっている」と述べている.
私たちは,食道癌術後に発生する患者のさまざまな苦痛について長年追究し,精神症状の予防に努めてきた.これらのかかわりのなかで学んだことは,患者の本来持っている力を維持していくケアの提供こそが,精神症状の予防にもっとも重要であるということである.
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