学生の広場
子宮頸癌末期患者の看護—末期症状による苦痛の緩和を試みて
茂呂 光枝
1
1栃木県立衛生福祉大学校昼間課程
pp.674-676
発行日 1986年6月1日
Published Date 1986/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921438
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はじめに
末期癌による“痛み”は,鋭く持続的で,次第に増強する性質がある.やがて全身的におよんでくることにより,精神的苦痛と重なり,たとえ“癌”を宣告されていなくても,死に対する恐怖を少なからず抱かせてしまうものと思う.耐え難い“痛み”との闘いに疲れた患者は,時にはつらさのあまりに,人格を変え,抑えきれなくなった苦痛を怒りとして訴えてくることがある.
今回,受け持った患者と接し怒りをぶつけられる状況に初めて直面した.そして,苦痛のために抑えきれなくなってしまう感情に対する患者自身のやりきれない思いを,痛みの和らいでいるほんのわずかな時間に打ち明けられたことで,患者が疾病に対する不安とは別の精神的苦痛を持っていることを知った.
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