特集 精神症状に強くなる
積極的傾聴で行なう心のケア—急性骨髄性白血病で精神症状をきたした患者の例
紺井 理和
1
1聖路加国際病院
pp.717-720
発行日 2000年8月1日
Published Date 2000/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903524
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はじめに
患者の状態が,生命維持のためのさまざまな治療や処置がなされる,いわゆる急性期の時期にあるとき,患者自身はどのような体験をしているのであろうか.この時期,私たち医療者の関心は患者の身体面に偏りがちである.しかしこのような時期こそ,身体的のみならず精神的にも危機的な状態にあると思われる.突然の状況変化に戸惑い,先のみえない不安や自分自身の無力さなどに圧倒され,押しつぶされそうになっているのではないだろうか.
本事例は,倦怠感を主訴に受診した結果,心の準備もないまま救急入院となり,すぐに治療が開始され,その途中で医療者に対し怒りや不安を表出したケースである.2クール目の治療終了後に,経済的理由などのために転院となってしまったが,入院中に医療チームでカンファレンスを行なうほど学びが多く,私たちの対応を深く考えさせられた.
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