特集 療養環境を考える—人と人,人と設備のインターフェイスを求めて
療養者と介護者にやさしい療養環境—生活支援機器の活用による環境づくり
舟木 美砂子
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1(株)舟木義肢
pp.1194-1201
発行日 1990年12月1日
Published Date 1990/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900279
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自立できる療養環境を
老いて,身体の機能に障害を持つようになっても,住み慣れた地域で安心して暮らしたいという思いは,誰しもが抱く普通の願いであろう.家庭の中で,障害を持った老人ができる限り自立し,家族と共に豊かな生活を送るには,療養環境を整えることが前提となる.段差の多い出入口,滑りやすい廊下,しゃがみ立ちの大変な畳や和式のトイレ,独りでは入浴できない風呂…….どれをとっても障害を持った老人には,自立を阻害する要因となる.またこの状況は,家族へも介護力という労働負担を強いる.
大半の老人やその家族は,入院中はなんらかの看護法やリハビリの訓練法の指導などを受けている.しかしながら,家族も老人も,在宅という環境の中で,どうしたら再び自分の生活を取り戻し,自立して暮らせるか,ほとんどの人が退院するまで誰にも教わることがないのである.
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