特集 新しい入院療養環境
利用者からみた入院療養環境
原 聡子
1
1健康・医療ガイドセンター
pp.953-956
発行日 1995年10月1日
Published Date 1995/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901627
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はじめに
病院は「医学の発想」でものを考え,場をつくる.それは診察室が,医師にとって疾病部位を最も診やすいようにつくられていく点,病棟が,医師や看護婦にとって経過観察をするのに最もよくつくられていく点,そして最も「無事に」生命を維持できるようつくられていく点に如実にみてとれる.これらは医療者にとっては任務を遂行しやすい環境であるし,そこには仕事を「能率的に」こなすための工夫が為されてきた.しかしそういった環境が,患者にはどのように感じられているのかについての,医療者の関心は薄かった.開業医たちの関心を皮切りに,近年になってやっと,一般病院の外来環境が変わってきたように思う.しかし病棟環境に対する配慮は,まだまだだ.
筆者が参加する「健康・医療ガイドセンター」の医療相談には,この「まだまだ」といった印象を裏付ける患者の苦言が,日々寄せられる.本稿では,患者が「入院」というイベントをどのようにしたら快適に終えられるかについて,相談時の患者の声を参考に考えてみたい.
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