連載 死の淵からの生還[急性心筋梗塞患者の闘病記]・8
生の実感—ICUから一般病棟へ
林 三夫
1
1名古屋市立中央高等学校
pp.196-199
発行日 1990年2月1日
Published Date 1990/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900060
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声が出た,話ができた
目が醒めた.天井を眺めると実に明るい.〈昼間かな?〉目を他に移す.担当の看護婦の姿がハッキリと見える.卵型の美麗な娘だ.鼻の左側にホクロが1つあるのが見える.私は随分回復したんだなーと,自画自賛する.
医師の声がする.看護婦が「林さん,これから気管に入っている管を抜きますからね,ちょっと痛いよ」と言う.医師が抜きにかかるが,管が結構長いので看護婦が手伝う.ちょっと痛い.息苦しい.不快感があった.横目でのぞくと,管の先に鮮血が一杯付いていた.抜く時に傷でも付けたのか?
胃の方へ行っている管も抜いてくれるかと期待したが,そのまま残された.今度は,酸素吸入のベンチュリーマスクが鼻先に装着される.呼吸は随分楽だ.
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