症例ライブラリー 一般病棟に帰してよいか 予定外ICU入室とするか 迷うべき術後患者
まとめ:一般病棟に帰してよいか 予定外ICU入室とするか
仙頭 佳起
1
Yoshiki SENTO
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 心肺統御麻酔学分野
pp.854-855
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202636
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術後管理という第2のフライト
術後患者の全身状態は不安定である。それは,術後患者が二つの侵襲を受けた直後の患者群だからである1)。一つ目は「手術という外傷」であり,これは出血と炎症をきたす。二つ目は「麻酔」である。「麻酔」は直接的に,上気道閉塞,痛み,悪心・嘔吐,低体温,せん妄,自律神経の不安定性などを惹起し,さらに「麻酔」に伴う処置および薬物投与が間接的に,さまざまな有害事象をきたし得る。このように,術後患者は急変のリスクが高い患者群だと改めて認識すべきである。
麻酔はよく飛行機のフライトに例えられる。難しくて緊張感のある離陸は麻酔の導入,安定した水平飛行は麻酔の維持,そして再びシートベルト着用サインを灯しての着陸は麻酔からの覚醒と抜管である。こうして「術中麻酔管理」をフライトに例えた場合に,実はうまく着陸させたはずの患者は,(飛行機なのにまるで地下鉄の乗り換えのように)すぐさま,次のフライトで飛び立っている。それは,「術後管理」という便である。
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