連載 医療の零度―次世代医療への省察・11
構造構成主義によるパターナリズムの再解釈
京極 真
1
Makoto Kyougoku
1
1社会医学技術学院
pp.96-102
発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101395
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前回、Quality of life(QOL)の再構築を試み、患者-医療者関係で行われる交流の重要性を強調した1)。その際、自律性を欠いたり、制限された状態にあるため、交流がうまくできない患者に対して、どう対応すればいいかについては論じなかった。
結論から言えば、そうした場合、パターナリズム的干渉によって交流されることになる。しかし、昨今のトレンドは患者の自律性に根ざしたインフォームド・コンセントであり、自律性を越えたパターナリズム的介入は患者の人権を蹂躙するという激しい批判にさらされている。一方で、近年ではこうした論調に対し、パターナリズムは本当に全否定すべき患者-医療者関係なのかという疑問からの反論も見受けられるようになった2)。
本論では、現代医療において悪口の代名詞となったパターナリズムを有効活用するメタ方法論について構造構成主義の立場から論じる。
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