Japanese
English
論説
EBR(evidence-based rehabilitation)におけるエビデンスの科学論―構造構成主義アプローチ
The science study of evidence in EBR:structural: constructivism approach.
京極 真
1
Makoto Kyougoku
1
1江戸川医療専門学校
1Tokyo-Kurusu School of Medical Studies Edogawa College
キーワード:
evidence-based rehabilitation(EBR)
,
科学論
,
構造構成主義
,
structure-construction evidence-based rehabilitation(SCEBR)
Keyword:
evidence-based rehabilitation(EBR)
,
科学論
,
構造構成主義
,
structure-construction evidence-based rehabilitation(SCEBR)
pp.473-478
発行日 2006年5月10日
Published Date 2006/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100305
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はじめに
近年,エビデンスに基づいたリハビリテーション(evidence-based rehabilitation;EBR)の領域では,エビデンスとしての質的研究の重要性が強調されている1).質的研究とは,「具体的な事例を重視し,それを文化・社会・時間的文脈の中でとらえようとし,人びと自身の行為や語りを,その人びとが生きているフィールドの中で理解しようとする」方法の総称である2).EBRでは質的研究をエビデンスとして使うことで,加齢や能力障害等に対する患者の認識を理解し,臨床決断をサポートすることができると期待されている3).
しかし,その一方で,最良のエビデンスは,臨床疫学から生まれる科学的エビデンスだとされ,質的研究から得られた見解は非科学的だとしてほとんど評価されていない1).エビデンスにはヒエラルキーがあり,その上位にあるエビデンスを使うよう推奨されていることから,実質的に,質的研究は使用制限されていると言える.こうした現状は,リハビリテーションの複雑性や臨床の知を探求する実践の足かせとなる可能性がある1).
そこで本論では,EBRにおけるエビデンスの科学論的前提に焦点をあて,その根本から批判的に検討する.そして,質的研究は非科学的であるという批判を解消するために,臨床疫学と質的研究の科学性を同時に保証する科学論的基盤を備えたエビデンスの概念を整備することを試みる.
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