調査・研究
ラベンダーオイルを使用した足部温浴の効果―香り付加の教示が及ぼす影響について
河内 麻貴
1
,
深田 美香
2
1鳥取大学医学部保健学科看護学
2鳥取大学医学部保健学科基礎看護学講座
pp.728-734
発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101055
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はじめに
足部温浴は足首から先を湯に浸して血行を促す温浴法のことで,全身の血液循環が良くなるといわれている.これまでの研究により,足部温浴は身体および心理的なリラックス効果や入眠を促す効果が認められており,自律神経機能に対して副交感神経を亢進させリラックスさせるような働きがあると報告1-3)されている.
アロマセラピー(芳香療法)とはエッセンシャルオイルを用いて疾患の治療や症状の緩和をはかる治療法のひとつである.アロマセラピーは交感神経を抑制するように働く3)と述べられており,産婦人科領域の疾患,肩こり,腰痛,関節痛などの痛みの管理,パニック障害などの精神科,診療内科疾患など4-7)わずかではあるが現在臨床で代替療法として使用されている.また,このアロマセラピーを併用した足部温浴のリラックス効果についても研究が行なわれてきている4, 7-10).しかし,先行研究において消極的な気分の減少傾向が認められているものは被験者の主観的な気分を問うた指標が多く,統計学的に大きく有意差が認められたというものは少ない4, 7).白川ら11)は被験者に対し足部温浴の実験であることだけを説明し,香りを付加することやラベンダーの香りを用いることは一切教示しないようにして足部温浴のリラックス効果について実験を行なった.その結果,香りを感じた者と香りについて何の反応も示さない者とに分かれた.このことから,先行研究の結果を検証するとともに,被験者に香りを教示することが心理,生理学的にどのように影響を及ぼすのかについて,同実験の実験方法に沿って足部温浴を行ない,心拍の変化,主観的な気分の変化がどのように表れるかを検討した.
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