連載 聴こえんゾ!・9
聴導犬
山内 しのぶ
pp.401-403
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100960
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知人の家に行った.玄関先で,小型犬のお出迎えである.彼(彼女か?)は,私の膝のうえに前足を乗せ,黒目がちの瞳で私の顔をのぞきこみ,短いしっぽをちぎれんばかりに振っている.
「こんにちは」
話しかけた.そうしたら,ものすごい喜びようである.私の膝のうえに飛び乗ってきた.前足を私の肩に乗せ,ペロペロと舌を出したり入れたりしている.鼻息荒く,吐く息とともに鼻水をブッブッと飛ばしてくる.熱烈な歓迎ぶりである.彼(彼女かも.くどいか?)と見つめ合い,その体重を膝で感じながら,私は,何年か前に見た犬の目を思い出していた.
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