提言
道標 → 道導 = 道知人
上田 章弘
1
Akihiro Ueda
1
1介護老人保健施設 恵泉
pp.1086-1087
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200001
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- 文献概要
はじめに
「私(OT)は物言う“道しるべ”である!」
唐突な文章と訳のわからないタイトルから始めさせていただきました.まさかの「提言」依頼に頭を悩ませた結果,恐縮ですが今私が思う認知症の作業療法について書かせていただこうと思います.ご承知の通り,認知症を患うと「メタ記憶障害」,「内省能力の減退・病態失認的態度」,「再認不能な記憶障害」等々の障害が現れます.その結果,ご本人は自分がどのような状況に陥っているか理解できず,どうしていいのかもわからず不安でさまよっている状態にさらされるのではないでしょうか.また,家族を含めた周囲の人も認知症の人の理解しがたい異常な行動や言動に戸惑い,「認知症のはずがない」と否定し,悩み,どうしてよいかわからず認知症の人と同様不安な状態に陥る方も少なくないはずです.現代の医療では治療することが難しい慢性進行性の認知症というこの病は,本人のみならず周囲の人々までも道に迷わせてしまう何とも厄介なモンスターのように思えます.
そんな認知症という病に,われらOTはどのようにして挑んでいけばよいのでしょうか! 私は「これぞ認知症の作業療法」といった確信めいた方法論や技を持ち合わせているわけでも,認知症について知りつくしているわけでもありません.OTになって15年,来る日も来る日もただひたすら認知症のじいちゃん,ばあちゃんとかかわり続けてきました.気がつけば認知症の作業療法にどっぷり浸かり,認知症というキーワードでつながった諸先輩方と,時にはお酒を酌み交わしながら,認知症談義に花を咲かせてきました.そんな日々を過ごす中で今考えていること,それは「道知人(みちしるべ)」です.
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