特集 ここまでできる!摂食・嚥下リハビリテーション
アルツハイマー病者への継続的なアプローチ―食べる機能を維持するための14年間の軌跡
白坂 誉子
1
,
市村 久美子
1
,
川波 公香
1
1茨城県立医療大学保健医療学部看護学科
pp.220-225
発行日 2007年3月1日
Published Date 2007/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100877
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はじめに
高次脳機能障害は摂食・嚥下の先行期に最も大きく影響する.先行期の障害は準備期・口腔期の随意的な行動に連動するため,先行期へのかかわりは非常に重要である.認知症のある人の摂食・嚥下機能についても同様のことが言えるが,嚥下に関する問題の多くは,終末期に起こると想定されることが多い.そのため,進行した認知症の栄養摂取の方法として経管栄養を選択することが少なくない.
今回紹介するケースは,アルツハイマー病と診断され14年の経過のなかで,徐々に「食べることへの困難さ」が出現した.重度の認知症により機能や能力が少しずつ失われていくなかで,摂食・嚥下の先行期・準備期・口腔期に問題をもちつつ,3食とも経口摂取を継続している.現在までの14年の経過を通じて看護師として,「食べる機能」を維持するために実施した支援についてここに紹介する.
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