教育のひろば
全生涯にわたる継続的学習
平沢 薫
1
1東京教育大学・教育学
pp.1
発行日 1965年7月1日
Published Date 1965/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905471
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過去においては,人間の学習は主として青少年の時期,すなわち,6才から12才,15才,18才,あるいは25才ごろまでの時期までに高まり,それから後はしだいに低下してゆき,学習の能力は弱いものだと考えられていた,しかし,最近の成人の心理学,その他の学問の研究によって,人間の学習の可能性は年とともに高まり,学習の条件を科学的に整えることによって,学習の発展が終生にわたってみられることが明かとなった。
1928年に,E. ソーンダイクという心理学者は,「成人の学習」という本の中で,子供時代は学習の時であるが,成人は学習を終わった時であるという,長い間の定説をくつがえして,人間は40代までも学習の可能性のあることを証明した.ソーンダイクの研究の後に,さらに多くの学者・研究者の調査研究によって,成人が65才ないしは70才,80才にいたっても,やはり学習の可能性と,有効性のあることが実証されるようになり,いまや,80才ごろまでの「成人教育計画」もなりたつことになった。
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