特集 がん化学療法 セルフケア支援のABC 後編
脱毛のセルフケア支援
飯野 京子
1
,
坂本 照美
2
1国立看護大学校
2国立がんセンター中央病院
pp.1060-1065
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100812
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脱毛は,がん化学療法の副作用として高頻度に発生するが,致命的ではないために医療者からは軽視されがちであり,研究も少ない.しかし,化学療法を受ける患者にとって苦痛度の上位であるとともに,治療を拒否する要因ともなる.患者のこのような気持ちに対応したケアが必要である.
がん化学療法による脱毛は,細胞分裂の激しい頭皮の毛母細胞の細胞分裂を抑制することにより生じる.脱毛をもたらす薬剤は,ドキソルビシン,パクリタキセル等であり,これらは外来治療において頻用される.
患者へのセルフケア支援では,脱毛の可能性,出現の時期に関する説明を行なうことが重要であるが,症状の予防が困難であるために,カツラの準備等容姿を整える指導を事前に行なうことも重要となる.症状出現時は,補整,頭皮の保護,周囲の環境整備等が行なえるようにし,増強する不安に対処する緩和方法もできるような支援が重要となる.
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