特集 実例に学ぶ患者アドボカシー
実例③ 患者アドボカシー室専任看護師の実践から―コミュニケーション不足が招く患者・家族の不満に対応する
鶴田 正敏
1
,
北代 直美
2
,
伊藤 栄子
2
1七沢リハビリーテ所ン病院脳血管センター患者アドボカシー室
2七沢リハビリーテ所ン病院脳血管センター
pp.543-549
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100734
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患者や家族の価値観や権利,人権を尊重した,良質の医療サービスを提供するという姿勢は今やあたりまえの時代になった.このような個別的で多様な要望に適切に応えるためには,サービスを受ける立場の患者・家族が医療機関に対し,直接苦情や意見をいえる環境作り,患者・家族のサイドに立った問題解決の場が必要であろう.しかし現状では,患者・家族が苦情や意見をいいたくても入院生活においては不利益を被ることを恐れ,我慢してしまうことも多い.
本来,サービスを受ける側の患者・家族の声は,病院や職員に対する率直な評価であり示唆である.その声を真正面から受けとめ,誠実に対応することで患者・家族と病院間の信頼性が高まり,かつ提供する医療サービスの質の向上にもつながる.
このような背景から,七沢リハビリテーション病院脳血管センターでは,「患者の立場に立った医療を実践する」という病院理念に基づき,2001年4月,アドボカシー室を設置した.患者・家族の苦情・提言等を真摯に受けとめ,患者の「人権と権利,利益擁護」の視点から適切に対応することによって,患者・家族に対し良質かつ適切な医療サービスを提供することを目的にしている.この取り組みが,「患者の権利」を擁護するとともに,患者・家族とのコミュニケーションを補う役割を果たしているので,以下に紹介する.
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