連載 糖尿病advanced care―合併症を持つ人へのアプローチ⑩
糖尿病腎症から透析となった患者へのアプローチ―血圧低下がある患者の看護から考えて
佐名木 宏美
1
,
岡 美智代
2
,
患者教育研究会
1京都橘大学看護学部看護学科
2群馬大学医学部保健学科
pp.957-962
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100649
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
ねらい
糖尿病腎症から透析導入となる患者は年々増加傾向にあり,2005年では透析導入患者全体の42.0%を占めるまでに至っています.糖尿病腎症から透析導入となった患者は,糖尿病による自律神経障害,心機能低下等により透析中の合併症が生じやすい状況にあります.なかでも透析時低血圧は,透析不均衡症候群やシャントトラブルの原因となり,その結果,体液貯留などを介して患者予後やQOL(クオリティオブライフ)悪化の原因となります1).また,日常生活時においても,患者は起立性低血圧によるめまい,失神発作などの症状が起こりやすい状況にあります.血圧低下が重篤となると,通院が困難となったり,帰宅途中で転倒するなど生命予後や社会復帰にも影響すると言われています2).このことから,血圧低下は患者にとって,生命予後やQOLの観点からも重要な問題となります.
本稿では,糖尿病腎症から透析となった患者の事例を取り上げ,水分の過剰摂取による体重超過から高除水となり透析中に血圧低下をきたした患者の看護を通して,患者の行動変容をともに見守っていった看護職者の実践事例を紹介します.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.