連載 糖尿病advanced care―合併症を持つ人へのアプローチ⑤
透析導入が間近になった糖尿病腎症の患者―気になる表情や態度に踏みとどまって
井上 智恵
,
林 優子
,
竹山 聡美
,
患者教育研究会
pp.479-485
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100088
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ねらい
糖尿病が進行し,腎保存期にさしかかった患者は,病期の進行に応じて,厳格な血糖コントロールや降圧治療,そして蛋白制限や運動制限も加わるようになり,生活の規制がますます増幅されていくようになります(Lecture).患者が不安を訴えたり,抑うつ的になる背景には,糖尿病患者としての療養生活に加え,腎不全患者としてさらなる療養生活上の制限を伴うことによって生じる二重の苦しみが影響していることも見逃せません.
また,腎保存期の初期段階では,患者は将来起こりうる透析療法について実感がわかないことが多いものです.しかし,透析導入の可能性が高いことについて医師から説明を受けると,ことの重大さが自覚できるようになり,透析に対する不安が高まり,抑うつ的になってしまう患者も少なくありません.
ここでは,透析導入を恐れて抑うつ的になってしまった糖尿病腎症の患者を取り上げ,看護師がとっかかり言動をきっかけに,その人の生活にとっての意味を浮き彫りにし,生活者の視点で関わる看護実践が患者さんの態度に変化をもたらした事例を紹介します.
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