ベッドサイドの看護
極度な血圧低下のある患者の適正透析への援助—段階的アプローチを試みて
武元 和子
1
1兵庫医科大学病院人工透析部
pp.313-317
発行日 1982年3月1日
Published Date 1982/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919500
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はじめに
近年の透析療法の進歩は目覚ましく,透析患者の死亡率は著しく低下し,患者が透析を受けながら社会復帰ができ,健康人同様の生活をおくることが常識になってきている.しかし透析患者が,健康人同様の生活を営んでいくためには,種々の制約を守り,日常生活をコントロールし,適正透析を受けているという条件が整うことが必要である.従って,導入時期の患者教育や,適切な看護活動が透析患者の予後を左右すると言っても過言ではない.
高血圧症から,腎不全への経過をたどった本症例は,透析開始前200-100mmHgであった血圧が,透析中40-0mmHgと極度に低下するようになり,各種薬剤の使用,高浸透圧透析液の使用,Bicarbo—nate透析,Hemofiltrationも効果なく,透析を中断して,体外循環している血液を体内にもどし,血圧の確保に努めなければならなかった.その結果,血液データ,心胸比は増悪,食欲は減退し,無気力状態となり,悪化の傾向にあった.
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