巻頭カラー連載 看護に役立つ! 人体の神秘の世界へご招待 からだと病気とミクロのはなし⑦
呼吸器系の構造と異物排除のしくみ
角田 正史
1
,
相澤 好治
1
,
根本 典子
2
,
宮澤 七郎
3
,
医学生物学電子顕微鏡技術学会
1北里大学医学部衛生学公衆衛生学
2北里大学医学部バイオイメージング研究センター
3北里大学医学部組織標本・電子顕微鏡センター
pp.882-883,926-928
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100640
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呼吸器系の構造と役割
呼吸器系は気道と肺からなっており(図1B),気道は鼻腔,咽頭,喉頭,気管,気管支からなっています1).気管支は肺門から肺に入り,分枝を繰り返して気管支枝,細気管支,終末細気管支,呼吸細気管支となり,肺胞管に移行し,そこから数多くの肺胞がふくれ出ています.肺全体としては,左は上葉,下葉,右は上葉,中葉,下葉に分かれ,表面が臓側胸膜で覆われており,内部はさらに肺小葉と呼ばれる小区画に分かれています.
呼吸器系の主な役割は,人体にとって必須なO2とCO2のガス交換です2)が,これは主として肺胞で行なわれています.ガス交換という機能の必要上,肺胞の表面積は広くなっており,ヒト1人当たりの肺胞の総表面積は約60m2にも達します.図2Bに示したように,肺胞には肺動脈が入り,肺胞壁のなかで毛細血管の網を作っており,毛細血管の血液は肺小葉間の結合組織にある静脈に注ぎ,この静脈が集まって肺静脈となっています.
呼吸は,外部から空気を取り入れるため,必然的に異物が入ってくる危険性が起きます.実際,経口・経皮と並んで経気道は異物の主な侵入経路となっており,生体は異物の侵入を防ぐために精妙な仕組みをもっているのです.
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