連載 元気な皮膚科医であるために・1【新連載】
皮膚(表皮)は癌でさえ排除する
今山 修平
1
1九州大学医学部皮膚科教室
pp.132
発行日 1993年2月1日
Published Date 1993/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900811
- 有料閲覧
- 文献概要
体のどこかに癌ができたなら手術により可及的すみやかに排除するのが安心である.もしも宿主自らの力で癌を排除できるならそれが最も確実な抗腫瘍作用といえるだろう.
私たちの体表面を境する表皮は日々角質となっては脱落するという過程を繰り返す組織である.もし個々の腫瘍細胞を表皮の角化(脱落)機転に取り込むことができれば,その過程に乗せることにより,有害な細胞(もちろん物質をも含めて)を体外に排除できるはずである.皮表は平均的な日本人で畳一枚の広さがある.しかも表皮真皮接合部には著明な凹凸があることから表皮側から見た面積はその数倍に相当するだろう.広大な表皮からの継続的な癌細胞排除は,もし可能ならば,腫瘍細胞の絶対数の減少をもたらすに違いない.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.