新連載 看護に役立つ! 人体の神秘の世界へご招待 からだと病気とミクロのはなし①
生物を形づくる細胞とその構造
宮澤 七郎
1
,
根本 典子
1
1北里大学医学部組織標本・電子顕微鏡センター
pp.290-291,334-338
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100061
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20世紀にヒトゲノムの解析が完了して病気の原因遺伝子や関連遺伝子の構造が明らかにされ,病気は遺伝子レベルで診断される時代となりました.しかし,これだけでは遺伝子が病気を引き起こす仕組みまで理解するには至りません.異常な遺伝子は細胞に何らかの機能的変化を与え,臓器や組織の構築と機能に変化を起こし,病気特有の病態を発生させます.つまり,遺伝子が臓器のどの組織・細胞に局在し,そこで遺伝子産物がどのような作用をするのか知る必要があるのです.
古い時代,病気は臨床症状だけで判断されていました.しかし,今日では超微細形態学的検索などの解析を行なうことで,からだのなかで起きている現象を分子・遺伝子レベルから知ることが可能となりました.また,SARSをはじめとした感染症対策が必須の時代を迎え,ミクロ・ナノレベルの解析は重要であり,将来的には幹細胞(ES細胞)による再生医学への応用などに大きな期待がかかっています.
本連載では,12回にわたって病気とミクロの関係に触れ,電顕写真を用いて臨場感あふれる解説を行ないます.第1回目は,私たちのからだを形成する最小単位である「細胞」をミクロの目で観察します.
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