特集 モチベーションが上がる看護研究の始めかた
看護研究は何のために行なうのか
菊池 昭江
1
1東京女子医科大学看護学部
pp.316-318
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100589
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
私が,本学大東キャンパスの近隣にある総合病院看護部の皆さんへ看護研究のアドバイスを始めてから,早いものですでに8年が経過しようとしています.
最初は,看護部からの「職員教育の一環として看護研究の基礎を指導してほしい」という依頼から始まりました.私も,日常業務のなかで臨床ナースがどのような悩みや気づきをもって研究に取り組んでいるのだろうかと関心を抱いていたので,興味深く参加させていただきました.
一般的に,看護研究というと多くのナースは,「難しいもの」「そんな時間はない」という意識から研究活動に躊躇する傾向がみられます.これは,看護研究が理論を打ち立てたり,原理を追究したりする面があるため,とても抽象的で難解なものと考え,やり遂げる自信がもてない状況があるからではないかと感じました.
そこで私は,臨床で行なう看護研究は,日常業務のなかで発見した事実(課題)を科学的に証明していく過程であることを強調し,まずは現場で感じた疑問が,科学的に検証することが可能な課題であるのかを考ることから始めるよう勧めてきました.このことにより,臨床ナースにふだんの何気ない気づきを大切にする意識をもってもらい,その気づきを研究課題として科学的に検証していく作業に従事することを通して,個々の問題解決能力や論理的思考を高めてほしいと考えています.
本稿では,これまでの研究活動を振り返り,臨床ナースが日常業務のなかで行なう看護研究の意義と課題について考えてみたいと思います.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.