連載 In the assisted living シアトル・高齢者ケア事情・8
入居者をネグレクトから守る!―州政府への通報義務
北野 敬子
1
1アシステッド・リビング
pp.810-813
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100513
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朝8時,私の緊急呼び出し用のポケベルが鳴った.「入居者はまだ朝食中だろうに……」と思いながら,ポケベルが表示する221号室へと急いだ.入居者アシスタント(resident assistant;以下,RA)の2人が先に駆けつけていて,床に倒れているヘンリー氏(86歳,男性)のバイタルサインを測っていた.
「ヘンリーさん,転倒したみたい」とRAのベスが報告した.ヘンリー氏はアルツハイマー病と診断されており,言語によるコミュニケーションはもうほとんどできなくなっていた.そのため,いつ・どのようにして転倒したかの情報を彼から得るのは無理だった.バイタルサインは正常だったが,ヘンリー氏の身体を動かそうとすると「痛い!」と声をあげた.「どこかに骨折があるかもしれない」.すぐ911(救急隊の電話番号)へ連絡し,救急車でヘンリー氏を救急外来(emergency room;以下,ER)へ送った.
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